経皮的中隔心筋焼灼術PTSMA
経皮的中隔心筋焼灼術(PTSMA : Percutaneous transluminal septal myocardial ablation)
症状のある、薬物治療抵抗性の閉塞性肥大型心筋症に対して、カテーテルを使用して純エタノールにより閉塞責任中隔心筋を焼灼壊死させる治療法のことです。経皮的中隔心筋焼灼術(PTSMA)は1995年より欧州にて始まり、薬物治療無効例に対し、外科的に肥大心筋を切除する中隔心筋切除術の代替治療として位置づけられる治療法です。治療の仕組みは、左心室の出口(流出路)を圧排する肥大心筋に流れる冠動脈左前下行枝の枝である中隔枝にエタノールを極少量注入して、肥大心筋を焼灼し、薄くすることによって左室内圧較差を減らす治療法です。外科手術を受けることができる全身状態であれば外科的な中隔心筋切除術が第一選択となりますが、本治療の最大の特徴は、「低侵襲性」(体力の消耗や傷口が小さい)です。症状をはじめ、僧帽弁逆流や不整脈合併の有無などを総合的に判断し、よくご相談させていただいた上で治療方針を決定しています。他院からご紹介いただくケースで、薬物療法を変更あるいは強化すると症状が改善するケースも少なくありません。
当院での経皮的中隔心筋焼灼術
カテーテル治療担当医が、心臓エコー担当医師の立ち会いの下、治療を行っています。術中の正確な心臓エコー所見の解釈が、治療の成否に関わりますので、心臓エコー専門医の見解を術中に聞く事が出来る状態で治療を行えるのは当院の強みと考えています。カテーテル治療は基本的には局所麻酔で行い、治療に要する時間は2時間強です。当院では、治療を行う前に、事前に検査入院をして頂いている関係上、治療当日は事前の検査結果を参考に治療を行っています。治療にともなう入院期間は1週間強です。カテーテル治療の成否は、治療終了時の左心室と大動脈の圧較差で判定します (圧較差:左心室から大動脈への血液の通りやすさを反映します。安静時に圧較差が30mmHg以上あれば“閉塞性”と判断します。値が大きいほど、血液が通りにくく、病気の程度は重症と判断します。カテーテル治療後は治療が成功した患者さんでは圧較差は10mmHg以内にまで減少します。) (図1)。カテーテル治療後は、閉塞性肥大型心筋症外来にて、心臓超音波、心臓MRIおよび心肺運動負荷試験などを施行させて頂き、治療効果の判定および評価を行います。
当科では火曜日午前、水曜日午前の外来(担当医 安西 淳)にてカテーテル治療を含めた閉塞性肥大型心筋症の治療に関してマネージメントさせて頂きます。
大動脈
ステントグラフト
開胸や開腹を要さない低侵襲な治療法。当院は、国内有数の豊富な大動脈瘤治療実績を有し、特にこのステントグラフト治療は人工血管手術とともにトップランナーとして近年さらに増加し続けています……
経皮的中隔心筋焼灼術 PTSMA
症状のある、薬物治療抵抗性の閉塞性肥大型心筋症に対して、カテーテルを使用して純エタノールにより閉塞責任中隔心筋を焼灼壊死させる治療法です。最大の特徴は「低侵襲性」(体力の消耗や傷口が小さい)です。
経カテーテル大動脈弁留置術 TAVI
重症の大動脈弁狭窄症で、開胸手術による治療が不可能または 非常に困難な患者さんに対する全く新しい治療です。大動脈弁をただバルーンで拡張するだけでなく弁を留置してくる治療法です。
経皮的僧帽弁裂開術 PTMC
カテーテルを用いて足の動脈から直接心臓に到達、硬くなった弁にイノウエ・バルーンを運び、そこでバルーンを広げて、硬くなった僧帽弁を広げる治療。心臓手術に比べ開胸術でなく、患者さんの負担は少ない。
バルーン肺動脈形成術 BPA
局所麻酔下で行う侵襲性の低いカテーテル治療。PEAの適応外とされる高齢者、全身麻酔が困難例、末梢型のCTEPHに対しても治療可能である。複数回の治療により、PEAと同様に根治が期待できる。