慢性血栓塞栓性肺高血圧症 Chronic Thromboembolic Pulmonary Hypertension; CTEPH
概要
・慢性肺血栓塞栓症とは、器質化した血栓が肺動脈を慢性的に狭窄・閉塞する疾患である。
・肺動脈の広範囲が閉塞し、肺高血圧症を合併した際に慢性肺血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)となる。
*安静時の平均肺動脈圧が25mmHg以上と定義される。
症状
・本症に特異的な自覚症状はないが、労作時息切れは最も多く認める。
・その他、胸痛、咳、失神なども認めることがあり、肺出血や肺梗塞を合併すると、血痰や発熱が出現することがある。
・肺高血圧症から右心不全を合併すると、腹満感や体重増加、下腿浮腫が見られる。
診断
・症状や検査(血液検査、心電図、胸部X線、胸部CT、心エコー図など)で肺高血圧症の存在を疑う。
・肺換気血流シンチグラムでCTEPHを強く疑う。
・右心カテーテル検査で肺高血圧症の重症度診断を行い、肺動脈造影で肺動脈病変の詳細な評価を行う

治療
①薬物療法
ワーファリンや肺血管拡張剤があるが、CTEPHにおいて効果は限定的である。
②肺動脈血栓内膜摘除術(PEA)
全身麻酔下で外科的に器質化血栓を摘除するCTEPHの根治療法の一つである。血栓が中枢に存在する中枢型CTEPHに対しては非常に良い適応であり、根治が期待できる。
③バルーン肺動脈形成術 (BPA)
局所麻酔下で行う侵襲性の低いカテーテル治療である。PEAの適応外とされる高齢者、全身麻酔が困難例、末梢型のCTEPHに対しても治療可能である。複数回の治療により、PEAと同様に根治が期待できる。
